妊娠中の傷病手当と派遣切り後の傷病手当や失業保険等について

社会保険労務士の大庭真一郎と申します。

ご質問いただいている件に関して、以下にお答えします。

①派遣切りの場合、特定理由退職者扱いとなるのかどうか
自己都合での派遣終了や初めから今回で契約満了が決まっていた時の派遣終了であった場合は特定理由退職者扱いとはなりませんが、派遣会社の都合で一方的に派遣契約を終了させられた場合は特定理由退職者扱いとなります。

②健保の傷病手当分が失業保険から差し引かれて支給されるのか
結論から申し上げますと、健保の傷病手当と失業保険が同時に支給されることはあり得ません。
理由は、健保の傷病手当は病気やけがで働くことができなくなったときの補償であり、失業保険は働けることを前提とした補償なので、互いに相反するからです。
よって、健保の傷病手当を受給している期間は失業保険の申請をすることができず、失業保険の申請をするのであれば自動的に健保の傷病手当の受給は終了します。

③健保の傷病手当終了後、雇用保険の傷病手当を受給することができるのか
雇用保険の傷病手当というのは、ハローワークに休職の申し込みを行った後に１５日以上病気やけがで働くことができない状態になった場合に支給されるものです。
よって、健保の傷病手当が終了した時点で働くことができない状態であった場合、そもそも休職の申し込みを行うことができないので、雇用保険の傷病手当の受給も行うことができません。

④雇用保険の傷病手当が給付された場合、失業保険から差し引かれるのか
結論から申し上げますと、失業保険から差し引かれるなどということはありません。
雇用保険の傷病手当が支給される条件は③の答えの中で説明した通りですが、働けない期間が１５日以上３０日未満の場合は失業保険の代わりに傷病手当が支給される形になり、働けない期間が３０日以上となる場合は失業保険の代わりに傷病手当を受給するか、もしくは失業保険が受給できる期間を延長するかの選択となります。
ちなみに、失業保険が受給できる期間は最長３年間まで延長することができます。

参考にしてください。

社会福祉士の福井と申します。

①特定理由退職者になるか
会社都合退職の場合、特定受給資格者や特定理由離職者になりますが、自己都合退職の場合でも、妊娠が理由であれば、正当な自己都合による退職となり、ハローワークで受給期間延長の手続きをとれば、特定理由離職者になると考えられますので、ぜひハローワークでそのことを伝えてください。

②健保の傷病手当金は雇用保険から支給されるか
健康保険の傷病手当金は、健康保険から支給されます。雇用保険とは別の制度です。

③11月以降健保の傷病手当金は切られるか。雇用保険の傷病手当を申請できるか
雇用保険の傷病手当は、ハローワークで求職申込した後に働けなくなった場合に受給できるものなので、今回のケースでは対象外と思われます。ただし、健康保険の傷病手当金は退職後も継続給付される可能性があります。一年以上の被保険者期間があることや、退職日に出勤していないことなど、継続には条件がありますので、ご注意ください。

④雇用保険の傷病手当は失業保険から引かれる？
雇用保険の傷病手当を受給するときは、すでに受給している基本手当の所定給付日数の残り日数分が傷病手当として支給されます。

今回のケースでは、健康保険の傷病手当金が継続できるかを確認し、自己都合退職ならば、妊娠による正当な自己都合だとハローワークで伝えるとよいと思います。