借用書を公証し滞納したら強制執行する場合「期限の利益喪失」が借用書にないと一括返済を要求できませんか

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ある人に300万円を貸していますが、返してくれません。

そのため金銭消費貸借契約書を締結して、公証して返済されなかった時には強制執行をしたいと思っています。

知人から金銭消費貸借契約に「期限の利益の喪失」という条項を入れておかないと、公証で強制執行しようと思っても意味がないといわれました。

そうなのでしょうか。 すみません よろしくおねがいします。

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回答1

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弁護士の神尾です。

期限の利益というのは、期限までは待ってもらえるという意味です。
期限の利益を喪失するというのは、そうした「待ってもらえる」利益が失われたこと、つまり期限まで待ってもらえなくなるということです。
例えば
・返済期限より前に破産したこと→その破産時に返済してもらえるようになる
・分割払いの支払いが遅れたこと(後述)
といったことがあります。

このうち、個人の貸し借りで一括返済を約束した場合は、期限の利益喪失はほとんど意味がありません。
つまり、期限の利益が失われる場合(破産など)では、返済期限が前倒しになったとしてももう回収することは困難になっているからです。

期限の利益喪失が意味を持つのは、分割払いの場合です。

すなわち、例えば来年の
1月31日に100万円
2月29日に100万円
3月31日に100万円
ずつを返してもらう約束にしたとしましょう。

1月31日の100万円の支払いが遅れたとしても、期限の利益喪失約款がないと、もう100万円を強制的に取り立てるには2月29日まで待たなければならないことになります。
他方、期限の利益喪失約款(未払いが100万円になったら全額せいきゅうできる)が付いていれば、1月31日の100万円が遅れた時点で、300万円一括請求ができることになります。

このように、分割払い(特に長期分割になるような場合)では、期限の利益喪失を入れておかないと適時の回収が難しくなります。こういったケースでは、ほぼ間違いなく期限の利益喪失を入れます。

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